「ライトノベル」は、主にSFファンの間でよく使われている単語です。「軽い小説」という感じがするので嫌う人もいます。
「ジュヴナイル」は、「児童文学」を本来含む単語のようです。つまり『エルマーのぼうけん』『トムは真夜中の庭で』、みたいなのも入るらしい。
私個人は、娯楽小説と信じて書いているし、決然と、若い人向けの娯楽作家を主張したいので使わないのですが、「ジュニア小説」という言葉を嫌う作家の中には、「ジュヴナイル」を推す人もいますね。
なぜ「ジュニア小説」が嫌われるかというと、まっとうな小説ではないような響き(子どもだまし、みたいな、かな)があると言うのです。また、実際にジュニア小説とその作家は、出版社や評論家から、そのような扱いを受け続けてきた、という歴史があります。それは私も、身をもって知ってはいます。
しかし、当博物館は、私の信条で、「ジュニア文庫」の名前を使っていますことを、ご了解いただければ、と思います。
最近では、児童書のポプラ社でも、たぶんに小学生向けではありますが、折原みと、倉橋燿子といったジュニア小説作家を起用したシリーズがあります。文庫よりは大きなサイズで出ています。
その一方で、例えば、はやみねかおるといった、児童書専門だけれども注目したい作家もいるので、ややこしくなります。
ここでは、文庫判、というサイズに注目して、ジュニア文庫に絞りました。全て入れていくと、集めきれないのが、最大の理由です。
ジュニア小説では、作者の名前がころころ変わることがあります。稲生達郎=秋月達郎=橘薫、とか、花井愛子=神戸あやか=浦根絵夢、とか。
また、略歴も、年齢・性別・その他すべて事実ではない場合があります。特に少女小説では、読者が親近感を持ちやすい、という理由から、男性なのに女性名義で書いたり、年齢などもまるっきりのフィクションであることがあります。
当博物館では、この辺については、周知の事実または本人が公表していない限り、極力書かないことにしました。発掘したいのは作品で、ゴシップではないので。