最終更新日 2008/11/17

スケバン文庫について


 「スケバン文庫」の創立者は、前原大輔というライターの方です。著書には、秋元文庫に『ヤング心理学』という、若者の性と飛行に関する手記とアドバイス集があります。(74年)
 さて、『続 さらば理由なき抵抗』(スケバン文庫)の解説によれば、前原氏は、フリーライターをしながら、スケバンに関する取材をし、その結果を「スケバン」として、双葉社の雑誌で連載、本になります。これはベストセラーになり、少年非行の権威者ということで、テレビにも出演したそうです。
 しかし、双葉社でのシリーズはうち切られ、彼は社会の表舞台から姿を消します。その理由は、自らの著書に書いてあるんですが、どうやら本人が、十六歳の少女と関係を持ってしまった(「強姦した」ともあり)せいらしいんですね。
 そういうわけで、本が出なくなった前原大輔氏は、自ら「ヤング友の社」を起こし、「スケバン文庫」を創立するのです。(78年)
 現在、手元にあるのが『さらば理由なき抵抗(上下)』と『続 さらば理由なき抵抗』だけなので、分かるのはここまでですが、中島さんは上記のごとく、『ヤング白書』なる本をお持ちだそうですので、続刊があった、ということですね。

 しかし、74〜78年というと、私が中学から高校ぐらいなんですが、こうした話は全く知りませんでした。今後とも、捜索を続けていきたいと思います。

【追記】2000/10/25
 その後、「文庫本のページ」の中島泉さんから、メールをいただきました。

お久しぶりです。文庫本のページを開いています中島です。
しばらく貴ページを拝見していませんでしたが、久しぶりに見て充実してきているようで嬉しく思います。
さて、私が以前お伝えしたかったのは、「スケバン文庫がジュニア文庫である」ということよりも、「スケバン文庫と同じ出版社から「ジュニア文庫」という本も出版されている」ということです。私の持っている本(ヤング白書)の内容は少年少女の悩み相談室といった感じのものです。
(後略)


 どうもありがとうございます。

 2000.12.18 追記

 このページを読まれた、一也さんという方(秋元文庫のSFシリーズを集めていらっしゃるそうです)から、メールをいただきました。改行がまちがっていたらお許し下さい。

早見さん初めまして、私は最近懐かしの秋元文庫SFシリーズ(状態の良い物)を探して
古本店やリサイクルショップをチェックしている一也と言う者です。
このページを初めて観させて頂いておりますが、スケバン文庫が話題になっているとは驚きです。
実は、スケバン文庫の著者、前原大輔氏は以前の私の家からすぐ近所に住んでいた方で、面識も
あります。但し話した事はありませんが・・・。
当時フジテレビで放送していた3時のあなたという奥様向けワイドショーに出たときは近所でも
話題になりましたし、あの事件の時もマスコミが取材に来て大騒ぎでした。
当時私はまだ餓鬼だったので、詳しくは知りませんが前原氏が相当な酒乱で毎晩酒飲んで暴れ
騒いでいたのは記憶してます。
普段は黒いサングラスを掛けて歩いてました。

さて、そのスケバン文庫ですが埼玉県幸手市の古本屋で5冊見つけましたので近く入手します!
さらば格子なき牢獄 上・下完・・・少女刑務所のドキュメントみたいな内容です。
スケバン・・・あの有名な?スケバンです。
この他に、親向けの教育論と言うかハウツーと言うか、そんな感じの本も一冊ありますよ。
という事は必ずしもジュニア文庫とは言い切れないと言う感じがしますが、作者同様謎だらけの
特殊な文庫ですね・・私はてっきり自費出版で春日部市【埼玉県】近辺だけで販売してたとばかり
思ってました。

ヤング友の社発行、文庫社発売(名目上)となっていたのは1980年頃までで、その後は
販売もヤング友の社となったみたいです。以前同じスケバンで、1982年?発行の本を見たことが
有りますが、この頃になると表紙に少女漫画調のイラストが書かれてました。

因みに前原氏は、ヤング友の社から新書版(カッパノベルス位のサイズ)でもスケバンシリーズを
出してましたが、このマークがアップルコンピュータ・マックのリンゴマークの色違い【グリーンと
イエローのツートン】みたいなマークでした。
また、津山耕作の名で純愛小説も書いていたみたいですが、どうしてもスケバンのノリになって
しまい前原氏の作品というのがバレバレでした!

スケバン文庫の一部作品の巻末に三上連太郎と言う人が解説を書いてますがこれも前原氏 自身の文である事は見え見えなのです。

以上が私の知っている範囲の事です。
現在前原氏は何処で何をしているかは不明です。

最後に質問なのですが、秋元書房は何時頃どういう形で消滅したのか教えて頂けますか?
倒産なのか解散なのか、どうもその辺のところが判りません。
よろしくお願い致します。

 貴重な情報をありがとうございます。
 スケバン文庫には、出版コードが入っています。これは、現在のISBNコードになる前の、取次が割り振ったコードだと理解しているのですが、まちがっていたらご指摘下さい。ともかく、コードがある以上、取次を通じて書店に流通していたことは、確かかと思われます。
 しかし、規模は不明ですね。製本自体も、写植ではない活版印刷で、小規模を思わせます。
 解説も自作自演だったとは、驚きでした。
 秋元文庫については、別のページでご説明いたしますね。

 2000/12/18 追記

 その後、一也さんから、また詳細なメールをいただきました。どうもありがとうございます。

早見さんこんにちわ、先日スケバン文庫についてメール致しました一也です。
その後、スケバン文庫について新たに判った事が有りますので少々長くなりますが
お知らせ致します。
先ず、スケバン文庫が発行されていた時期ですが、1976年(昭和51年)から1981年
(昭和56年)までの間です。
前原大輔氏があの事件をきっかけに堅気の出版社から完全に干され、ヤング友の社を設立したのが1975年(昭和50年)8月です。
約一年間は単行本のみ発行してましたが翌年3月からスケバン文庫がお目見えしてます。
但し、スケバン文庫の発行が文庫社、発売がヤング友の社という扱いでした。
装丁の大きな変更は最後まで無く、全体的にオレンジ色ベースのカバーです。
若干の変更は最後の年になる1981年3月発行の版であったみたいです。
先のメールでお知らせしました表紙に少女漫画調のイラストを採用した他には、背中部分の
下の方に文庫社と黒文字で入り、その下に価格(例えば380円なら380)と入ってましたが
変更後は白抜き文字でヤング友の社となり、価格は入っていません。

スケバン文庫でもう一つの注目点は、発行人の名が本によって全て違うと言う点です。
普通の出版社なら発行時の社長の名前になると思いますが、スケバン文庫の場合ですと、
前原氏の当時の婦人の名義だったり長女だったり長男、娘婿と色々な方が発行人となっておりました。
もう一つの特徴は、誤字、誤植が非常に多いです。これは製版屋さんや印刷屋さんの問題で
はなく、前原氏の金払いの悪さが原因だとご本人が本で書いてましたよ!

ヤング友の社で発行していた文庫本は内容に関係無く全てスケバン文庫とされており、
他のシリーズ名は存在しません。
また、巻末の目録では相当発行予定と宣伝してましたが幻に終わったのが殆どみたいです。
最後に私が知っている限りの範囲で実際発行されたスケバン文庫のリストを記して置きますので
参考にして下されば幸いです。

1・スケバン(女子高生の性と非行の実態)*スケバンシリーズは他にも何点かあったようです。
2・続スケバン
3.バンガク
4.さらば、格子なき牢獄(上・下)少女刑務所入所者の日記?
5・反抗期のしつけ方
6・さらば、理由なき抵抗(上・下)
7・続・さらば、理由なき抵抗
8・ヤング相談日本一周
9・青春文庫
10・ヤング??学

追伸・・前原氏は単行本の一部作品でペンネームを使ってます。
津山幸作・・戦場の父より
三善 靖・・奇跡の少女(難病に冒されたスケバン少女の話)

何れにせよ、ヤング友の社から出ていた本は全て前原大輔氏の作品という事です。
以上、スケバン文庫についてのまとめでした。

 これが、私の手許に届いた、スケバン文庫に関する証言です。
 こうした方が読んでいらっしゃるので、ジュニア文庫博物館は、手を抜けないのでありますねえ……。
 どうもありがとうございました。



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