最終更新日 2008/11/17

ジュニア文庫博物館


 ジュニア文庫を蒐集し、リスト化するのが、このページの目的です。
 まだ、フォーマットなど、決まっていないことが多いのですが、いつまでも休館していられないので、暫定的に再度、公開します。

★ここでのジュニア文庫の定義
スケバン文庫について 長くなったので、別のページにしました。
★カバヤ文庫のこと
★ジュニア文庫創刊年表調査
  ★三笠文庫のこと、ならびに秋元文庫のこと、を含む



●ここでの「ジュニア文庫」の定義

 ジュニア小説は、いろいろな呼ばれ方をしています。「ジュニア小説」「ジュヴナイル」「ヤングアダルト」「ライトノベル」「あれ」……。
  「あれ」という単語と同じぐらい、それぞれの語はあいまいに使われているのが現状です。最近では、「ライトノベル」という言葉が幅を効かせていますが、さまざまな理由から、私はこの呼び方を使いません。また、人によって考え方もさまざまです。例えば、「ヤングアダルト」という単語は、業界においては、児童書より対象年齢の高い、大人向けではない書籍全般を指します。「ジュヴナイル」は、年少向けの小説、という定義もあります。
 今まで、いろんな人に説明するのに、いちばん効果的だったのは、「コバルト文庫とかスニーカー文庫とかあるでしょう。ああいうの」、という言いかたでした。

 別に呼び方が何でも、本そのものが変化するわけではありません。
 ただ、ここでは便宜上、「ジュニア文庫」を、次のように定義しています。

・版型が文庫サイズであるもの

ジュニア小説には、新書版、単行本版もありますが、ここでは厳密に、サイズとしての文庫版を選びました。ですから、児童文学系の会社から出ている「××文庫」も、文庫版でなければとりあげてはいません。これは、要するに全てを集めようとするときりがないので、絞っただけで、ジュニア小説そのものの定義とは関係ありません。

・主に中学生・高校生をターゲットとしたと思われるもの

    そんなこと、どうして分かるんだ、と言われると困りますが、雰囲気です。いちおうジュニア作家としては、分かる……と思ってるんですが。

    あと、他に一般向けの文庫を持っている会社が多いので、その場合は、明らかに分けることができるでしょう。
    また、三笠文庫のような、海外翻訳の文庫があったことが分かりましたので、・日本作家のオリジナル(ノヴェライズも含む)小説を中心とする、という定義も必要かと思われます。

    なお、文庫本のページの作成者の方からは、「スケバン文庫」はジュニア文庫ではないのか、というご質問をいただきました。
 「スケバン文庫」は、不良少女に関するノンフィクションを中心とした、特殊な文庫シリーズで、成立事情などがまだあまり分かってはおりません。
 いずれ、調査の後、どの程度ご紹介するか、検討したいと思います。
 この辺の定義については、簡単な解説を加えました。ジュニア文庫のあれこれをご覧下さい。



●カバヤ文庫のこと

 秋元文庫を集めているmiya-bonさんからの情報提供です。

 ごぶさたしております。
miya-bonの趣味のpageにリンクしていただきありがとうございます。
miya-bonです。

わたしは、大阪市福島区にすんでおりまして、読売新聞の地域情報誌5/7発行分で
カバヤ食品梶i本社:岡山市)大阪工場の紹介記事のなかで同社がオマケとして発行
していた「カバヤ文庫」について書かれたものがありました。
わたしはカバヤのオマケでは今のチョコエッグに入っていたような(もっとチャッチ
イですが)動物のミニチェアは集めていましたがこのことは知りませんでした。

「カバヤ文庫」ご存知かと思いますが・・・。
早見さんの「ジュニア文庫博物館」に記載のものとは少し毛色が違うので扱っておら
れないのかな。
とも思いましたがとりあえず以下に転載します。
必要なき情報と判断されましたら、このメールは破棄していただいてけっこうです。

カバヤ文庫って知ってる?
昭和27・28年頃、まだ本が今のように
たくさんないころのことです。カバヤ
のキャラメルに入っているカードを
集めると、「カバヤ文庫」が一冊もら
えました。日本や世界の名作を集め
たカバヤ文庫は、子供たちの人気
の的でした。カバヤ文庫で学級文
庫ができたという話も、聞かれました。

との、記事です。
カバヤ食品のHPには、
http://www.kabaya.co.jp/histo_book.html
に紹介がありました。
文中、「109冊が週間のペースで発行された。」とありますが
書目一覧をかぞえてみると159冊ででいたことがわかりました。
(早見注:これは古いメールですので、現在、カバヤ文庫のページでは、159冊と正しく書かれています

また、当時の入手方法やカバヤ文庫に関すること、などは、
児童文学書評
http://www.ne.jp/asahi/book/1/ のなかの
「甘くて哀しいオマケの名作 -カバヤ文庫の思い出から」
http://www.ne.jp/asahi/book/1/sakuhinn/1a/amaku.htm
に載っておりましたので付け加えておきます。
(早見注:このアドレスは、現在見つかりませんでした)

以上、なかば強引な情報提供で失礼します。
よろしく、お願いいたします。



 どうもありがとうございます。
 当博物館は、秋元文庫以降についてを集めていこうと思っておりますが、皆さんの情報は、広くご紹介していこうと思います。


下の年表について

 クリックすると、それぞれの文庫のリストに飛びます。リストのデータは、極力タグを入れず、ベタのテキストとして使用しやすい形にしました。
 現在は書目だけですが、最終的には、内容の簡単なガイドになるよう、がんばってみたいと思います。


新】ジュニア文庫の宝箱 (すみません。まだできてません)

 数あるジュニア文庫の中で、これは読んで欲しい! と強力にお勧めしたい本を、紹介して行こうと思います。
 絶版も多いのですが、今はブックオフのような、市価にとらわれない文庫入荷の多い古本屋もありますので、捜してみて下さい。
 ひとりでも多くの読者が、ジュニア文庫への価値を見出して下されば、新たな市場が拓けてくる……かもしれません。
 なお、主催者である早見の傾向を強く反映して、いわゆる異世界の勇者物ではないファンタジイが主になっていますことを、ご了承下さいませ。

  (2008年現在、残念ながら、この項目にはまだ手をつけていません)


ジュニア文庫創刊年表調査
2008/11/17現在


1973  秋元文庫(秋元書房)※書店はまちがいです。【休刊】
    
●秋元文庫のこと、三笠文庫のこと<

 秋元文庫は、ここでいうジュニア文庫の草分け的存在。SF、青春など、男の子向けのものが多い。

 ……と書いたのですが、このページを読んだ彦乃さんから、メールをいただきました。

黄色いカバーのやつが秋元だとしたら、70年代前半はアメリカの高校生の
話とか、日本の中学生の放課後のお話とか、どちらかといえば女子学生が
買うものでした。70年代のなかば、ヤマトがヒットしてから、TVアニメ
全集をだして、それから雰囲気がかわりました。

こんなこと、お役にたちますか?不確かで申し訳ないのですが。

もっと前には三笠文庫というのがありまして、これはオルコットものとか、
モンゴメリーものとか、うたかたの恋とか、あの手の翻訳ものの少女小説を
文庫よりちょっと大きいサイズでだしていたものです。おそらく1950年代
から60年代にかけて。

 ということでした。私も最近、蒐集が広がるにつれて、佐藤愛子や大木圭の少女小説がたくさん出て来て、認識を新たにしています。
 ここで言っている「TVアニメ全集」は、杉山卓氏の手による3巻本『テレビアニメ全集』で、アニメ誌が普及する前には、唯一といっていい、アニメのスタッフ・キャストの資料でした(ただし、かなり不正確です)。
 で、「やっぱり、TVアニメ全集でしょうかね。私もあれは、当時買って持っていますから」という私の返事に、彦乃さんがまたご返事を下さいました。

はい。あれの前と後でがらっとかわりました。最初から男の子むけの文庫ではなく、
むしろ女の子むけで、今のコバルトみたいなものでした。

 なお、三笠文庫についてのお話もいただきました。

私が本屋で文庫をあさるようになったころ(大阪万博のちょっとあと)には、もう、
本屋ではおいてありませんでした。いわゆる少女小説が多くふくまれており、
そのために、中学生のころの私は神保町あたりの古本屋あさりをしていたのです。
メジャーどころ、オルコット、ポーターとかは角川、モンゴメリーは新潮が
その当時だしていましたが、もうすこしマイナーなのは三笠にはいっていました。
でも、”制服の処女”なんかも、一時角川にはいっていましたねそういえば。
あとは、映画の原作で、サウンドオブミュージックの原作になった、マリアさんの
本ですね、あれが”菩提樹”という題ではいっていたのですが、サウンドオブ
ミュージックの前にドイツでそういう題で映画化されて、日本にはいってきたとき、
一種のタイアップでそういう題でだされたもののようでした。50年代だったと
思います。アネの”うたかたの恋”なんかもはいっていたのですが、これも角川に
はいって。。。というか、角川春樹さんが入社されたころ、ラブストーリーを
はじめ、映画の原作をたくさん、角川でだしていたんですね。ちょうどそのころ、
私は文庫本をよみはじめたので、仲間内で、角川って私たちにも読めるのが
たくさんあるね、とかいっていました。この文庫は小学校高学年あたりの少女を
対象にされていた様子で、1冊1冊がうすく、たとえばアンシリーズなんか、たいがい、
2ー3冊で新潮文庫の1冊だったのですが、比べてみて、ずいぶん、三笠のほうが
けずられており、難しい語句なんかは書き換えられていたのにびっくりしたことが
あります。両方、村岡花子訳なのに。

”なんて素敵なジャパネスク”かかれた方、なんとおっしゃいましたっけ?
あの方がこういった少女小説への思い出と愛をこめて”マイデイア”という本を
出されましたが、今30代以上の女性の書き手には、こういった少女小説の
原体験が共通にあるのでは?

三笠文庫がいつごろ終わったかはしりませんが、私が古本屋でみつけたころは、
かなり古いものばかりだったので、60年代なかばには、刊行しなくなって
いたと思います。

 また、文庫本のページというサイトの、碩学の中島泉さんからも、2000年にメールをいただいております。

三笠文庫についてはおそらく若草文庫のことと思われます。
昭和30年頃には一般向けの三笠文庫(普通の文庫本)も出ていましたが、小学校高学年女子を対象としているとみられる若草文庫も出ていました。
若草文庫の装丁はかなりバラエティがあり、はっきりしたことは言えないのですが、大きさはB6判でハードカバー箱入りのものや紙表紙でカバーのかかったものなどがあります。
それ以外に「若草文庫ポケットサイズ」もありましたが、これは新書サイズのものです。いずれにしてもそれ程薄い本ではありませんが、内容は小学生むきに削られているところもあったかもしれません。

現在古書店ではあまり見かけませんし、値が高い本ではありませんが実物は以外と入手困難です。

 皆さま、どうもありがとうございます。
 氷室冴子さん(「なんて素敵にジャパネスク!」の著者)の本は読んでいませんが、捜してみましょう。
 しかし、このように、少女小説読者の方からは、認識が違うことが分かりましたので、新たに、この博物館の当面の定義に「日本作家の小説を中心とすること」を挙げる必要が、あるかもしれません。
 なお、秋元文庫についてですが、ずいぶん前に(2000年頃だと思います)、ふと思い立って、秋元文庫に多く書いていらした、若桜木虔さんに問い合わせたところ、次のようなご返事をいただきました。

 いや、これが、全く分からないのです。私は途中でコバルトのほうに移ってしまい、更に、元々が大人物志向だったものですから、光文社に移る……といった経緯で現在に到っています。
 私と同じ頃に書いていた草川隆さんとも、よく「秋元はどうしてるんだろう?」などという話をしたのですが、分かりません。
 ただ、秋元自体は消滅しておらず、海軍兵学校の名簿とか陸軍士官学校の名簿(大判のハードカバーで、かなり高価。古書でも1万円くらい)を出しており、これは架空戦記に必要なものですから、購入しました。発行は3年くらい前だったと思います。
 それで、発行者のところを見ましたら、昔の私の担当編集者の名前が載っていましたから、まだ健在で続けているのだなあ、と思ったところです。私の新人時代に50年輩でしたから、もう70過ぎですよね。
 秋元では眉村さんもかなり書いておられますが、やはり眉村さんは関西の方で、滅多に会うこともないので、お会いしても挨拶程度で、なかなか秋元の話にまではなりません。

 ということで、秋元書房そのものは存続しているようです。
 なお、先にご紹介した、miya-bonさんからも、メールを頂戴しました。それによれば、

この件につきまして、私の知りえる情報はありません。
ただ、収集した文庫で一番新しい初版発行年月日は昭和61.6.30となっております。
書名は「エスパーゲームブック5/超能力者脱獄せよ!」です。

 とのことで、86年には新刊が出ていたことが分かりました。
 どうもありがとうございます。
 これも、整理していきたいと思います。

1975  ソノラマ文庫(朝日ソノラマ)【2007年終刊・会社が解散】
 朝日ソノラマがそれ以前に発行していたジュニア小説(単行本)を母胎に始めた文庫シリーズ(詳細は未調査)。主に男性向け(少女小説も初期にあります)
 ちなみに、単行本は、「ヤングシリーズ」または「サンヤング」と表記のあるもので、初期のソノラマ文庫にそのまま収録された作品もあり(『北北東を警戒せよ』など)、されていない作品もあります(『オヨヨ島の冒険』など)。
 なお、ソノラマ文庫の中の一部は、朝日新聞社が引き継いで出しています。
(朝日文庫、また朝日新聞発行のソノラマノベルズなど。なお調査を要する)

1976 (小学館文庫)
 小学館のマンガシリーズ。ここでは小説に絞ったため、調べていません。

1976 集英社文庫・コバルトシリーズ【存続】
 少女小説文庫の草分け。コバルト文庫と呼ばれるが、少なくともある時期までは、集英社文庫の一シリーズでした。ただし、コバルトシリーズのほうが、集英社文庫の本体より、先に出ています。
 現在は、主にノヴェライズを扱うコバルト・ピンキーなどもあります。

1976 角川ジュブナイルシリーズ
 詳細は未調査。ジュニア文庫というよりは、角川文庫の中の一シリーズです。同じようなものに、徳間文庫コスモス版などがあり、まだ調べる必要があるようです。

1980 ポケットメイツ(文化出版局)【廃刊】
 初めて、ノヴェライズを前面に出してきたシリーズ、と言っていいかと思います。岬兄悟、難波弘之などのオリジナルSFもあります。

1981 (アニメ文庫)(ソノラマ)
 アニメに関する雑多な本。小説は、ないようです。


1982 アニメージュ文庫(徳間)【一部存続】
 徳間書店の雑誌『アニメージュ』編集部が編集した文庫シリーズ。「徳間文庫」は、文庫編集部が担当しているため、異なるものと言えます。
 アニメージュ文庫には、小説以外にヴィジュアル、エッセイなどが含まれますが、当博物館では、今のところ小説に絞って集めています。
 現在も、出版されているものがあります。

1984 (双葉社アニメ文庫)
 アニメコミック(アニメのコマをマンガの形に構成したもの)、ゲームブックなどが主ですが、『ルパン三世』シリーズの中では、小説もあります。書目は調査中。

1984  投稿文庫(発行・少年社 発売・雪渓書房)【未確認】
 詳細不明です。

2000.12.18 追記

 とんとかいもさんという方から、情報をいただきました。どうもありがとうございます。

 初めまして、「文庫の名簿」というページを持っている「とんとかいも」というものです。ジュニア文庫のページを拝見しました。充実したページに感心しました。
 ところで「投稿文庫」(少年社)について詳細不明とされていますが、手許に1号がありますのでわかることをお知らせします。第1号は1984年7月5日発売、隔月5日に発行とのこと。帯には「あなたの文章が文庫本になる」と謳い、投稿を募集しています。「創刊にあたって」というページに趣旨や投稿のテーマ等が述べられていますが、人間観、人生観、世界観その他ということで、詩や短文を募集しています。要するに投稿された原稿をもとに文庫本を出して行こうということで、おもしろい試みだと思いますが、1号を見る限りジュニアといっても二十歳前後の人の文章です。
 文庫名は「投稿文庫『ワーラ』」でワーラというのは、三重苦の聖人といわれるへレンケラーが最初に発した言葉でWATERとのこと。何号出たのかはわかりませんが、3号までは確認しています。なお発行人が少年社、発売は雪渓書房です。
貴方のページご発展をおいのりします。
とんとかいも

 たしかに面白い趣旨だと思います。どの程度、流通したものなのでしょうね。

1984  (宇宙船文庫)(ソノラマ)
 未調査ですが、雑誌『宇宙船』編集部が編集したものと思われます。映像関係の本です。

1984  (旧)講談社X文庫【消滅】
 このシリーズは、ノヴェライズやエッセイなどを中心とした「旧X文庫」(仲間内での通称)と、少女小説の「X文庫ティーンズハート」、少し年齢層を上に取った小説「X文庫ホワイトハート」などに分けられます。
 「旧X文庫」は、仮に命名したもので、私の周りの人間が便宜的に使っています。それに限定した旧X文庫リストを上げました。

1985? 角川文庫・青<スニーカー文庫>(角川書店)【消滅】
 現在のスニーカー文庫は、最初に「角川文庫・青版」という一シリーズとして誕生しました。
 その後、レーベルが独立し、スニーカー文庫、更にルビー文庫がそこから派生します。  現在('2000)は更に、ティーンズ・ルビー文庫も誕生しました。


1986?(富士見文庫)【消滅?】
 富士見文庫の中にも、ジュニアと考えていい作品がいくつかあります。『くりいむレモン』のノヴェライズ(倉田悠子)の他に、オリジナルも見られます。「ロリコン」という言葉の元祖とされる川本耕次さんの非ポルノ・青春小説など。

1987 X文庫ティーンズハート(講談社)【2006年3月終刊】
 ティーンズハートは、独特のピンクの表紙や、よく、吟味もされずに揶揄される花井愛子さんとその亜流作家の文体で、非常に大きな誤解を受けています。それを少しでも払拭するのも、私の仕事だろう、とは思います。もう、人生の残り時間が少ないのですが……。

1988  コスモティーンズ(ケイブンシャ)【終了】
 コスモティーンズは、ジュニア小説バブルの時期に、勁文社が、最初はホラーのシリーズとして始めました。後に、少女小説をも含むようになります。

1988 富士見ファンタジア文庫【存続】
 現在も続く、ファンタジイを中心にしたシリーズ。

1988? アルゴ文庫(光風社出版)【終了】
 ほぼ全冊が確定しましたが、リストは少々お待ち下さい。

1989  徳間文庫パステルシリーズ(徳間書店)【終了】
 ジュニア文庫ブームに際して、文庫編集部が作ったものです。男女向け小説から、次第に少女向けになっていきます。。

1989  バンダイ・キャラクターノベルズ【一部のみ確認】
 現在までに小説が二冊、ゲームブック、メイキング(映画『ガンヘッド』)などを確認。

1989  エニックス文庫【現状未確認】
 ゲーム会社のエニックスが作ったシリーズで、アニメのノヴェライズ、『ドラゴンクエスト』のノヴェライズ、ゲームブックなどの他に、オリジナル小説が数点あります。

1989  MOE文庫スイートハート(MOE出版)【休刊】
 少女小説のシリーズです。
 MOE出版は、偕成社の系列会社で、雑誌『MOE』(その後白泉社が発行)などを作っていました。
 終了とほぼ時期を同じくして、MOE出版は解散になり、MOE文庫の出版権は、偕成社に売却された形となっています。

1989  いちご文庫ティーンズ・メイト(双葉社)【終刊】
 少女小説のシリーズです。SF作家、ミステリ作家など著名な人が、変名で書いていることで注目されています。

1989  レモン文庫(学研)【休刊?】
 少女小説のシリーズです。森奈津子さんを世に送り出したことで有名。現在、かなりの点数を集めています。

1990 パンプキン文庫(ソノラマ)【終刊】
 朝日ソノラマがホラーコミック誌「ハロウィン」の流れで(と思われる)、オリジナル・ホラー小説のシリーズとして作ったもの。短命でした。小野不由美さんの「過ぎる十七の春」と「グリーンホームへようこそ」(後に「緑の我が家」)は、ホワイトハートから復刊されました。

1990 大陸ネオファンタジー文庫(大陸書房)【1992年休刊・会社が倒産】
 オリジナルのファンタジイシリーズです。大陸書房の倒産によって、必然的に休刊。

1991 集英社スーパーファンタジー文庫【2001年休刊】
 コバルトに対して、男の子向けの文庫シリーズです。

1991 講談社X文庫ホワイトハートシリーズ【存続】
 ティーンズハートの読者層が下がりすぎてしまったため、もっと上の年齢の読者を目指して作ったものです。初期は恋愛小説などもありましたが、次第に方向性が固まっていったようです。

1991 パレット文庫(小学館)【2006年終刊】
 少女小説のシリーズ。後期はボーイズラブが中心になりました。

1991 ハヤカワ文庫ハィ!ブックス(早川書房)【休刊】
 ジュニアに入れていいのか迷うところですが、早川が若年層向けに作った小説誌「HI!」が母体になっています。

1992 コバルト文庫ピンキーシリーズ(集英社)【現状未確認】
 ノヴェライズを中心にするシリーズです。成立事情については、いずれご説明できるかと思います。

1992 小学館スーパークエスト文庫【2001年休刊】
 ノヴェライズを中心に発足しましたが、オリジナルでもいくつかの作品があります。主に男の子向け。

1992 角川ルビー文庫【消滅?】
 少女向けのシリーズです。スニーカーとは編集部が一緒。やおい(現在ではボーイズラブ。ただ、やおいとボーイズラブは、厳密には意味が違います)を初めて採り入れたと思われます。

1993 電撃文庫(メディアワークス→アスキー・メディアワークスとのこと。未調査)【存続】
 角川書店から分裂したメディアワークスが作った、男の子向けの文庫。

1993 キャンバス文庫(小学館)【2000年終刊・2005年休刊】
 パレット文庫より高い層を狙った少女小説で、講談社でいうとホワイトハートに当たります。2000年に、レーベルとしては終了したのですが、霜島ケイさんの「封殺鬼」シリーズが完結していなかったので、それだけを出し終えるまで休刊にはならなかったようです。「封殺鬼」シリーズは、その後、ルルル文庫に移って続きました。

1993 ログアウト冒険文庫(アスキー 発行アスペクト)【1996年終刊】
 主に男の子向けのシリーズ。オリジナルも精力的に発行しましたが、最終的にノヴェライズに絞られています。

1993年 (ナポレオン文庫)(二見書房)【休刊】
 参考のために掲載。若い男の子向けのポルノ小説のレーベルです。非常に力の入った作品もあります。

1994 電撃ゲーム文庫(メディアワークス)【未確認】

1994 徳間AM文庫(徳間書店)【休刊】 徳間文庫の中の一レーベル。ノベライズ。8冊確認。非常に複雑な成立事情あり。

1995 ゲーメストZ文庫(新声社) 【1996年休刊】未確認(7冊とされる)。新声社は99年倒産。

1996 ファミ通ゲーム文庫(アスペクト)【1998年休刊】 未確認。ゲーム原作のノベライズ?

1996 ガンマ文庫(竹書房) 【1997年休刊】 未確認。主にノヴェライズのはず。竹書房は、足が早いためあっという間に休刊。

1996 サークル文庫(星雲社) 【1998年休刊】  まだ全貌が分からず。非常に力作が多かったという印象。

1997 電撃G’s文庫(メディアワークス)【2003年休刊】
 ゲームのノヴェライズを中心とする文庫。

1997 ログアウト文庫【未確認】 一瞬にして消えたとされるが、調査していない。。

1997 (徳間AMキャラ文庫)
 参考。上のAM文庫とは関係のない、ボーイズラブ専門の文庫と思われる。

1998 ファミ通文庫(アスペクト→エンターブレイン)【存続】
 まだ全貌がつかめず。

1998 ソノラマ文庫NEXT【休刊】
 ソノラマ文庫より上の年代をターゲットにしたものと考えている。書目は未調査。

1999 ソニー・マガジンズ文庫AXシリーズ(ソニー・マガジンズ)【消滅?】
 「ライトノベル」の解説書にAX文庫とあるのは、たぶんまちがい。現在手許にある山本正之「銀河熱風オンセンガー」は、AXシリーズ、となっている。おそらく、この頃の声優ブームなどから火が点いたアニメ関連雑誌「AX」と連動させる予定だったと思われるが、一切未確認。

1999 ウィングス文庫(新書館)【未確認】
 すみません。完全に見落としています。

1999 (ファンタジーの森)(プランニングハウス)【休刊・会社が倒産】(新書)
 参考のため掲載。私の本が出ているから(笑)。新書でのジュニア展開はそれまでもあったとされる。

2000 集英社スーパーダッシュ文庫【存続】
 スーパーファンタジー文庫がリニューアルした形か?【未確認】

2000 (徳間デュアル文庫)(徳間書店)(非文庫)
 参考のため掲載。文庫サイズとも言い難いし、ライトノベルかどうかも非常に疑わしいが、まだ結論が出せない。

2000 富士見ミステリー文庫【存続】
 いわゆるジュニア・ミステリの文庫として誕生するが、ミステリと呼ぶのがためらわれる作品も多い。いろいろ解説を要するが、現在は、ごく細々とのみ続いている。
2000 (EXノベルズ)(エニックス) 【2005年休刊?】(新書に近い)
 参考のため掲載(私が本を出しているので(笑))。判型が特殊で、棚を占拠しにくかったのではないか、と思われないこともない。全貌は調査中。

【以下、ほとんどが一切未確認】

2001 角川ビーンズ文庫 【未確認】女の子向け。BLだけではないはず。

2001 my文庫(白泉社) 【未確認】 ミステリの文庫で、現在も続いているかもしれない。

2002 MF文庫J(メディアファクトリー)【存続・未調査】
 印象としては、いわゆる「萌え」を最も意識した文庫、というイメージがあるが、何事も、調べてみなければ分からないので、単に未調査とする。

2004 メガミ文庫(学研)【存続】 アニメのノヴェライズを中心としていたらしいが、2008年にリニューアルしたとのこと。

2004 (ピュアフル文庫)(ジャイブ)※タカラトミー→ポプラ社傘下(新書?)【一切未確認】

2005 (SQUARE ENIXノベルズ)(スクウェア・エニックス)(新書)【一切未確認】

2005 (コナミノベルス)(新書)【一切未確認】

2005 新風舎Jam novels(新風舎)【新風舎が2008年1月破産】【一切未確認】

2006 GA文庫(ソフトバンク・クリエイティブ)【存続】
 幅広い分野を扱い、少年あるいは少女向けに特化していない、と思われる。

2006 (ジグザグノベルズ)(リーフ出版)【2007年倒産】(新書)
 参考。私の本が出ているから(笑)。ほとんどが新人の作品で、倒産後の在庫販売権は、星雲社が引き継いだと言われている。私も債権者のはずなのだが、通知は受けていない。
 初めて、メールでの飛び込み依頼が来たが、担当者の方がしっかりしていらしたため、仕事は非常に円滑に進んだ。面白かったのは事実。

2006 ゼータ文庫(竹書房)【2007年休刊】【未確認】 オリジナル中心とされる。ガンマ文庫から、ほぼ何も学んでいないらしい。

2006 ヴィレッジブックスedge(ソニーマガジンズ)【未確認】

2006 HJ文庫(ホビージャパン)【未確認】

2006 B's-LOG文庫(エンターブレイン)【未確認】

2007 カノン文庫(スタジオ・セロ)【存在せず】
 未確認ばかり並べていても面白くないので、書いておいた。スタジオ・セロに関するあれこれ(があったと聴いている)は、残念ながら知らないのだが、メールで突然、執筆依頼が来たのと、その内容がテンプレートのような印象だったため、誰にでも同じ内容のメールを送っていると思い、サイトを調べてみると、書き手、イラストレイターはまだしも、編集者も募集していて、「やる気のある人」と書いてあったため、丁重にお断わりした次第。

 ※以下に挙げたのは、各種リストやひとの話を参考にして特定したもので、まったく見ていない。

2007 芳文社KR文庫(芳文社) マンガのノベライズ中心?

2007 (もえぎ文庫ピュアリー)(学研) BL系中心?

2007 ガガガ文庫(小学館) 少年向け

2007 ルルル文庫(小学館) 少女向け

2007 HJ文庫G ノヴェライズなど?

2007 なごみ文庫(ハーヴェスト出版) 美少女ゲームのノベライズらしい。

2007年12月 GAMECITY文庫 ゲームのノヴェライズが主?

2008年5月 一迅社文庫(一迅社) 少年向け。全点新人か。

2008年7月 一迅社文庫アイリス(一迅社) 少女向け。全点新人か。

2008年8月 (幻狼ノヴェルズ)(幻冬舎)(新書) 一部復刻ある模様。

 ……ということで、これが現在までに判明している、あるいはそういうものがあるらしい、とされているジュニア文庫(あくまで文庫にこだわっていますが、これも次第に意味がなくなっているかもしれません)のリスト(一部参考のために、新書なども書いてはあります)になります。
 それで――。
 ごく最近までは、ジュニア文庫の完全な把握にとりくんできたのですが、気がつくと、私も来年、48歳ですなあ……。
 これからの人生で、読まないといけない資料や重要な本がある中で、全体で言うとスタージョンの法則が強く働いている本の山(少女文庫を中心に3000冊ぐらいかと)を片っ端から見ていくのは、無理としか考えられなくなってきました。
 少なくとも、現在のように月に百数十冊出ている文庫を、追いかけ続けても、なんの成果も得られない、と考えるのが自然ではないか、と思います。
 ですので、蒐集と調査の範囲を、絞り込んでいくしかないのではないか、と考えています。まあ、ぶっちゃけて言えば、脳細胞がぷちぷちつぶれるような本を読む暇があったら将来のために資料を読め、というような(^^;)。
 それよりも、MOE文庫スイートハートでの野原野枝美さん(後の桐野夏生さん)の作品の群を抜いた秀逸さですとか、幻の作家・飛火野耀さんの魅力と多少知っている話とか、逆に、いくらバブル期でもそれはないだろう、というような怪作・迷作についての話とか、話すべきことは、たくさんあるでしょう。最近の私では、それもなかなか叶わないのですが……。
 ですので、このジュニア文庫博物館も、無理のない範囲と、どこを目指すかを考えて、ある程度の形を整えられれば、ぐらいに考えないと、何ひとつ達成できないでありましょう。
 それを考えつつ、大掃除を兼ねて書庫を整理しつつ、まあゆるゆると進めていきたい、と思っております。
 2008年11月17日  早見裕司



ご意見ご質問は mailto:hayami@hayami.net へ

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